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美琴「あんたのこと嫌い」 上条「なん……だと…?」 その3

511:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 20:56:06.61 ID:/EnNKy7y0

翌日。

インデックスは早い時間に目を覚ました。

今日も日課の掃除をしなければならないのだ。

以前はグウタラな生活を送っていたが、黒子に教育された。
ただ飯食らいではみっともないから、せめて家の中で上条
手伝うようにと、一通り洗濯や掃除の仕方を教わった。


「…!!」

インデックスの顔が引きつる。

洗濯機に入れようとした上条の上着から女の匂いがしたからだ。


515:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 21:02:13.42 ID:/EnNKy7y0


「……っ!!」

今すぐ怒鳴りたくなるのを我慢した。

これが黒子の匂いだと理解しているからだ。

美琴ならともかく、黒子には世話になっているので文句はいえない。
淑女たるもの、易々と取り乱してはいけないのだ。

「……」

黙々と洗濯機を操作する。その次は清掃だ。

掃除機を用意してコンセントを伸ばそうとした時、
テーブルの上に書置きがあるのを発見する。


『インデックスへ。今日は早めに学校行ってくる。
 ご飯は冷蔵庫の中に入ってるから』


516:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 21:10:17.10 ID:/EnNKy7y0

インデックスの紙を持つ手がかすかに震えていた。

確かに、今朝目覚めた時に上条はベッドの上にいなかった。
てっきり早朝の散歩でもしているのかと思ったが、そうではないらしい。


「とうま…」

つぶやきながら時計を見る。
まだ始業のチャイムが鳴るまでずいぶん余裕がある。

インデックスは、昨晩こっそりと目を覚まして
上条の顔を見たところ、彼は泣いていた。

今までに見たこともないほど悲しそうな顔をしていたので
ショックを受け、優しく抱きしめたのだった。


インデックスはしばらく立ち尽くした後、上条
携帯に電話をかけるが、電源が切られていた。

「……はぁ」

肩を落とし、無言で掃除を続けた。


518:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 21:18:12.96 ID:/EnNKy7y0

その日の上条は、傷ついたシマウマを連想させた。


「……」

下を向きながらとぼとぼ歩いている。

別に行き先があるわけではない。

背後に朝日を浴びながら、学園都市の町並みを眺めていた。



「……」

それから数分ほど歩くと、いつもの公園にたどり着く。

困った時や、機嫌の悪い時はいつもここにやって来るのだ。
それは動物の習性のようなものだった。


520:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 21:26:37.28 ID:/EnNKy7y0

「よいしょっと」

ベンチに腰掛ける。


そのまま無気力の状態が続いたが、遠くから柄の悪い声が聞こえた。


『おらあああ!!』 『逃げんなよこら!?』 『離してください…』



相変わらず治安の悪い都市である。
こんな朝っぱらから不良たちが騒いでいるのだから。


「……ったく」

上条が獣のようなフォームで駆け出す。


521:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 21:32:07.49 ID:/EnNKy7y0

「ぐはぁ?」

振り向きざまに上条のタックルを食らった不良Aが飛ぶ。

「ごふ?」

同じ手順でタックルを食らい、不良Bも吹き飛ぶ。

「ふぉおお!?」

不良Cが一番飛距離があった。なぜなら…


「必殺・シマウマパンチ……!」

という名の必殺技が炸裂したからだ。

得意げな顔で技名を発音する上条だが、
そのイントネーションはアポロ(月面パンチ)にそっくりだった。


522:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 21:40:09.20 ID:/EnNKy7y0

この場所に残されたのは、
歴戦の猛者(シマウマ)と不良に襲われていた通学途中の女子生徒だけ。


「……」

仕事を終えた上条は静かにその場から離れようとするが、

「あの! せめてお礼を言わせてください」

奏でられた美しいソプラノで止められる。

「助けていただいてありがとうございました。
 粗暴な殿方に話しかけられて困っておりましたの」

それは聞き慣れたお嬢様口調だった。


上条はその生徒が常磐台中学の制服を着ていることを認識しつつ、

「気にするな。俺も苛々してたからちょうど良かっただけだよ。
 おかげで必殺技の練習にもなった。シマウマパンチ。
 略してシマパン。語呂もいいし最高だろ?」


526:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 21:48:26.49 ID:/EnNKy7y0

「シマウマ…?」

女子生徒はその単語に反応する。

「あなたはもしかして…上条当麻様ではありませんか?」

「知ってるの?」

「有名ですよ。正義を愛し、悪を打つ最強のシマウマといえば
 上条様しかおりません。上条様の名はわが校でも知れ渡ってますのよ。
 そういえば、あのジャッジメントからもお誘いがきているのでしょう?」

「はは。ま、まあね。入隊する気はないけど」


適当に答える上条だが、あまりにも変な名前で
知れ渡っていたので自殺したくなった。


528:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 21:56:09.95 ID:/EnNKy7y0

しばらく雑談をした後。

「私はもう行きますね。上条様はまだここにいるのですか?」

「今日はやる気がないからね。少し休んでから学校に行くよ」

「……そうですか。今日は本当にありがとうございました。
 では、ごきげんよう」

急ぎ足で歩く女子生徒。お嬢様校は時間厳守なのだろう。


「……」

ダルそうな上条はベンチに座り、腕を組みながら目を閉じた。




それから数時間が経過した。


531:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:03:46.40 ID:/EnNKy7y0

「…………どうしたの?」

通りかかった美琴の心配そうな声。

下校途中の彼女は通学カバンを片手にさげている。


「……」

上条はベンチに腰掛け、死人のような顔でうなだれている。
まるで敗戦直後のボクサーのような面持ちだ。



「当麻!」

美琴の叫びが届いたのか、上条がわずかに肩を揺らした。

「……おう。みことか」

「そんな辛そうな顔して…一体何があったの…? 」


533:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:08:57.02 ID:/EnNKy7y0

「……俺は黒子に釣り合わないと思う。所詮俺はただの野生動物さ」

「何言ってんのよ突然……。あんたらしくないじゃない。
 ……黒子と何かあったのね?」


「……」

上条は黙ったままだ。


美琴は沈黙を肯定と受け取って話を進める。

「私でよければ相談に乗るわよ? ふさぎこむのはよくないわ」

「……」

「当麻…」

「……」

美琴は上条を優しく抱きしめた。ほのかに香る少女の匂いと
温もりに安心し、上条は事情を話し始めた。


534:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:14:26.94 ID:/EnNKy7y0

昨日黒子が家にやってきたこと。そして夕食後に体の関係を持ったこと。

美琴は真っ青になりながら聞いていた。


「俺は最低だ。美琴や禁書を裏切った。もう二度と女の子たちと関わらないy」

「それって黒子が迫っただけじゃない! 当麻は最低じゃないよ!」

当麻の言葉を遮って叫ぶ美琴。


「しかし俺は…」

「いいの! 悪夢だったと思って忘れて。当麻には私がいるよ?
 黒子は無駄に頭がいいから影で何企んでるか分からない女なのよ?
 でも私なら当麻を純粋に愛せるわ。誰よりも当麻のことが好きだもん」

「……お前は俺を嫌いにならないのか?」

「愚問ね。私は……当麻の彼女よ?」

「……っ!」

その一言で上条の心が揺らいだ。


535:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:22:16.10 ID:/EnNKy7y0

ところで、上条から見て白井黒子は完璧すぎた。

品行方正・良妻賢母・才色兼備の三拍子揃った黒子は
仲良くなるには最高の存在だが、それゆえに負い目を感じていた。


食事の時に強く感じたのは、彼女がまぎれもなく上流階級の
生まれだということ。幼少時のときから英才教育を受けて
きたのだろう彼女とは、何もかもが違いすぎる。


上条は、黒子がまだ男をよく知らないから、
自分などに興味を持っているのだろうと思っていた。

元同性愛者だった彼女にとって、男性そのものが珍しい
存在なのだろうと。そして女子中学に通っていることも
それに拍車をかけているに違いないと考えていた。


538:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:27:59.09 ID:/EnNKy7y0

「当麻は寂しいんだよね? 不安で不安でしかたないんだよね?
 私が癒してあげるから…」

愛しそうに彼の顔を押さえ、甘言をささやく。

「……ちゅ……ん……」

そして軽く唇を重ねる。



「……」

凍りついた上条の心に、暖かい何かが生まれようとしていた。

美琴はお嬢様の割には庶民的なところがあり、変に高いプライドを
持っていないところも好感が持てた。それに怒りやすくてて子供っぽい
性格は禁書に似ており、親近感を感じていた。


539:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:29:20.11 ID:wemfLZQ+0

はっきりしない上条さんが悪い。


542:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:34:07.03 ID:XufyxOJs0

品行方正vs超電磁砲

と書くと、新しい能力者みたいだ


543:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:34:47.16 ID:mANGbKBP0

一方通行vs品行方正

うむ、悪くない


544:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:37:53.30 ID:SPi0uena0

ハーレム物の主人公を見てるようだ

誠死ね


545:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:38:48.35 ID:/EnNKy7y0

「寂しくなったら、いつでも私に甘えてくれていいんだよ?」

美琴はなおも誘惑していた。

彼女の胸に顔を埋めている上条は、自分がどうすれば
いいか分からず、ただされるがままだった。



客観的に見て、上条は自身を過小評価していた。

事実として複数の女の子達に好かれている以上、彼に魅力があるのは確かだ。

彼は謙虚な性格であり、仲良くなった女の子達には、
自分よりもっと相応しい相手が見つかるのではないかと常に考えていた。

それは今目の前にいる美琴に対しても同様なのだが、彼女の優しさに
つい甘えてしまう自分が嫌だった。


546:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:46:54.19 ID:/EnNKy7y0

「まあまあ、ずいぶんと熱々ですのねぇ。こんな公衆の面前で」

それは黒子の声だった。

「美琴お姉さま。こんなところで当麻様をたぶらかすなんて、
 はしたないですわよ」

「あんたに言われたくないわ。昨日は当麻の家で
 お楽しみだったそうじゃない。この淫乱」


美琴が言い返し、舌戦が始まる。


「人目のある公園で熱い接吻をする人よりはましですわ。
 当麻様も嫌がってるんじゃなくて?」

「へぇ、そう見える? 私と当麻はいつだって仲良しよ。
 だって私は当麻の彼女だもん」

「……!」


547:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:47:46.19 ID:kMJ4DbUl0

出るたびに性格が変わる


548:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:53:22.28 ID:FVpxuTOc0

思春期だからな


549:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 22:55:41.93 ID:/EnNKy7y0

黒子が額に青筋を立てながら言い返す。

「人の気持ちは揺れ動くものでしてよ。それは以前お姉さまが
 おっしゃってたことではないですか。私は当麻様が振り向いて
 くれるまで静かに待ちます」

「そうやって気取った態度取ってるけどさ、あんたの腹のうちは
 分からないものよね。軽々と当麻に体を捧げちゃってさ」

「あれは当麻様の方から迫ってきたんですの。
 わたくしを情熱的に押し倒してきましたわ。それはもう激しく」

「……へぇ?」


頭にきた美琴が冷静さを失い、口論が激しさを増していった。


「~~~~~!!」

「~~~~~~~~~!!」


550:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 23:03:38.26 ID:/EnNKy7y0

罵声が飛び交う中、上条は一人だけ冷静だった。


(……はぁ)

精神的に疲れていた。

あちらを立てればこちらが立たず。どんな選択肢を選んでも
厄介ごとに巻き込まれることばかりで、平和が恋しかった。


「とにかく、わたくしこれからジャッジメントの会議がありますの。
 お姉さまと話をしていたら時間がもったいないですわ」

黒子はしきりに腕時計を確認した後、

「それではこれで失礼いたします。見苦しいところをお見せして
 申し訳ありませんでした、当麻様」

最後に上条の頬にキスして去っていった。


553:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 23:12:40.28 ID:/EnNKy7y0

美琴は黒子の後姿を忌々しそうに見つめた後、

「当麻。これから時間ある? もし良かったらわt」

言い終わる前に邪魔が入る。


「上条様~~~!」 「まあ、あれが上条様ですの?」

「思ってたよりも素敵ですわ!」 「シマウマ様~~~!」

なんと、四人の女子生徒達が現れ、上条の周りを囲んでしまった。


「なななな、なんだね君たちは…?」

上条はあたふたした。


558:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 23:21:49.72 ID:/EnNKy7y0

「覚えていませんか? わたくし、先日上条様に助けていただいた者です」

常磐台の制服を着た女子生徒Aがそう言う。他の子も同じ制服を着ていた。


「お、おう。もちろん覚えているとも。久しぶりだね。あはは」 (あの時の女の子か…)

上条は突然の事態についていけないので空返事した。

よく見ると、女の子達の中には今日助けた子も含まれていた。


「それで…今日は何の用かな…?」 

控えめに質問する。

「助けていただいたお礼に、お茶にでも誘おうと思っておりますの。
 迷惑でしょうか?」

そう言うのは今日助けた女子生徒Bだ


560:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 23:30:47.17 ID:/EnNKy7y0

「へ…? いや迷惑だなんてことはないけど、むしろ俺なんかでいいの?」

「もちろんですわ! 上条様のシマウマパンチ…男らしくて痺れましたわ」

頬を赤く染めながら回想する生徒B。


すぐ後ろにいる生徒CとDもにこにこしていた。

上条が彼女達のことについて聞いてみると、同じ部の後輩らしい。

四人は水泳部に所属していて上条のうわさを共有しおり、
お礼を兼ねたデートを模索していたらしい。


562:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 23:38:26.42 ID:/EnNKy7y0

「さあ、こんなところで立ち話もなんですから、
 日が暮れる前に早く行きましょう」

生徒の一人が上条の手を引っ張ると、他の生徒がもう片方の手を引く。

上条はされるがままで、そのままどこかの高級喫茶店まで案内されるのだった。

まるで嵐のような出来事だった。



「……え?……何これ………? 意味わかんないんだけど……?」

一人残された美琴はしばらくそのままフリーズしていた。


569:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/16(木) 23:49:12.82 ID:SPi0uena0

常盤台の連中が美琴スルーとかどんだけ上条さん凄いんだよ


593:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 14:43:50.43 ID:Fk5YjXGU0


そして夕方。

上条は帰宅した。


「ただいま…」

「おかえりなさいなんだよ! とうま!」

元気よくインデックスが抱きついてくる。

「……」

「あれ、なんだか元気ないね?」

「……」

しずんだ顔の上条は無言だった。


594:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 14:50:53.93 ID:Fk5YjXGU0

禁書は先程から感じていた違和感を口にする。

「とうまは…今日も女の子とイチャイチャしてたの?」

消え入りそうな声だった。

禁書がそう思ったのは、彼が女子中学生たちといるのを見たからではない。
彼の服から複数の香水の臭いがしたのでそう思ったのだ。


「……まあな。おいしいケーキと紅茶をご馳走してくれたよ…」

「……うれしくないの?」

「そうだな…。うれしくないと言えば嘘になるかもしれない。
 だが、俺はもうこういうのはたくさんだ」

「え?」

「………すまん。一人にしてくれ」

上条は持っていたコンビニの袋を禁書に渡して床に寝転がった。


595:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 14:58:17.09 ID:Fk5YjXGU0

禁書は、まるで中年オヤジのようにだるそうに寝転ぶ彼を見て
一抹の不安を覚えつつも袋の中を見る。


「…」

中にはいたのは一人分のコンビニ弁当。

今日はこれを食べろと上条は言っているのだ。

年中お腹がすいている彼女にとっては量が足りない
ので少し不満だが、文句を言っていい雰囲気ではない。


「買ってきてくれてありがとう。いただきます」

一人静かに手をあわせ、静粛に食事を始めるインデックス。

いつもより食べ方が上品なのは、黒子に受けた手ほどき
を決して忘れないからだ。


598:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 15:08:55.17 ID:Fk5YjXGU0

(とうま、すごく苦しそうなんだよ…。
 見てるこっちまで辛くなるよ…。 
 何か私にできることはないのかな……)

もぐもぐとカツを租借しながら考える。

元気のない同居人をはげましてやろうと考えるのは当然である。

そして色々考えた末、とりあえず今日はそっとしておいてあげようと思った。

インデックスは、自身が騒がしい性格であることを自覚している。
だから少しでも静かにしてあげるのが上条にとってベストだと判断した。


「ごちそうさま」

食べ終わるのに時間はかからなかった。

空になった容器を燃えるゴミとして分別した後、
お風呂場に行ってお湯を沸かすことにした。
上条に疲れを癒してもらうためだ。


599:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 15:16:26.85 ID:Fk5YjXGU0

しばらくして



「とうま。お風呂沸いたよ?」

「俺は後でいい。先に入れ」

「……うん。分かった。……元気出してね?」

「……ああ」


それが本日彼と交わした最後の会話だった。

上条はそのままベッドで深い眠りについた


600:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 15:24:03.76 ID:Fk5YjXGU0

翌日。

上条は一日ぶりの教室に入ると、そこは異空間と化していた。


「裁判官。被告人が来たようです」

麗しき巫女・姫神が言う。


「分かりました。それではこれより裁判を開始します」

厳かな雰囲気で教団に立つ土御門が机を叩く。

「諸君。上条被告が登場したので、これより
 第一回・シマウマ裁判を初めようと思うと思う」


そう宣言すると、教室から拍手喝采が起きる。

「待ってました!!」  「ぱふぱふ~!」  「ついにシマウマが裁かれるか」


603:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 15:35:45.19 ID:Fk5YjXGU0

(……!? ……? ……!?)

上条は頭の中に多数の疑問を抱きながら、教室を観察した。


部屋中の机の配置が変わっており、上条が座らされたのは中央のイス。

その両サイドには弁護側・検察側の机が用意されている。

弁護側に座っているのは一方通行と打ち止め。
検察側は青髪ピアスとステイル。

後方の傍聴席には姫神や小萌教諭、クラスメイトらが着席してる。
今日は授業を放棄したのだ。



用談だが、明らかに部外者や前科者がいるように
見えるだろうが、それについてはあえてスルーしてもらいたい。

また、裁判の描写にも多数の矛盾や筆者の知識不足を露呈
するかもしれないが、これも容赦していただきたい。


605:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 15:44:47.23 ID:Fk5YjXGU0

「上条被告は不特定多数の女子生徒たちをたぶらかしたとされている」

土御門が得意げに話す。

「被告人は少なくとも御坂美琴氏、白井黒子氏、禁書目録氏や
 他多数の女子生徒とイチャイチャしておきながら、
 その中の誰と付き合うこともなく、さらに交友関係を広げている。
 これは不健全、不自然な現象であり、意図的に女心を
 もてあそんでいたのではないかとされている」


ここで一方通行が手を上げる

「意義あり!」

「弁護人の発言を認めます」 と裁判官の土御門。


「はい」

一方氏は猫背のまま立ち上がり、反論を始める。


606:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 15:52:35.66 ID:Fk5YjXGU0

「まず前提として、上条氏は極めて鈍感であり、正義感が強い。
 彼は人助けを日常的に行ってフラグを立て続けている。
 例えば彼が助けた女子生徒が、それをきっかけに恋に
 落ちるとしたら、それは自然の流れである。不健全ではない」


ここでステイルが手をあげる。「意義あり」 

「許可します」 と裁判官。


「はい」

厳かに立ち上がるロリコンの脱獄犯。

「一方通行氏の発言どおり、確かに上条氏は日常的にフラグを
 立て続けてる。しかし、仮にそれらの女性生徒から言い寄られた
 としても、懇意にしている女性の存在を示せば済む話である。
 それをしないのは、彼が意図的にハーレムを作ろうとしているから、
 と考えれば説明はつく」


608:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 15:59:24.49 ID:1/E9xB4P0

一通さんシマ条さんの弁護ですかwwww


609:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 16:00:06.30 ID:Fk5YjXGU0

このタイミングで土御門裁判官が質問する。

「検察側は彼が鈍感であり、正義感が強いことは認めますか?」

「はい。それは認めます」

検察官のステイルと青ピは共に異論なし。


次に魅惑の幼女・打ち止めが挙手して発言許可をもらった。

裁判なので真面目な口調だ。

「上条氏は非常に多くの女性から、ほぼ同時期に好意を向けられている。
 みな容姿端麗な若い女性ばかりであり、その中から特定の一人を
 選ぶのは困難である。彼は心が揺れ動く思春期の学生だからだ」


610:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 16:08:08.66 ID:Fk5YjXGU0

打ち止めちゃんはここで一息入れて発言を続ける。

「参考として、彼に好意をもったとされている女性を列挙したい。
 禁書目録氏、御坂美琴氏、白井黒子氏、佐天涙子氏、初春飾利氏、
 常磐台中の生徒A氏、B氏、C氏、D氏。客観的に見てももかなりの数である」


「意義あり」 と控えめに手を上げる無駄にイケメンのステイル。なぜか顔が赤い。


つっちーから許可を貰ってさっそく発言。

「特定の一人を選ぶのは難しいかもしれないが、その曖昧な態度が裏目に
 でた事例がある。御坂氏は以前から上条氏に強い好意を抱いていたが、
 異常な鈍感さによって気づいてもらえず、性格が豹変した。最終的に、
 彼女は暴行や脅迫などの手段で上条氏と強引に交際を迫った」


衝撃の事実に、場がしんと静まる。

「……!」

傍聴側の姫神さんが固唾を呑んで裁判の行方を見守っている。

それは他の生徒達も同様だった。


612:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 16:19:11.99 ID:Fk5YjXGU0

ステイルは発言を続ける。

「その御坂氏の凶暴性を体験した証人として佐天涙子氏をお呼びしている。
 裁判官、入室の許可を」

「いいでしょう」

金髪のグラサンがうなずく。


佐天さんは緊張しながら入室してきた。発言を始める。

「○月×日、○○レストランにて上条さんと友人の初春の三人で
 食事をしている時でした。突然乱入してきた御坂さんに脅されました。
 彼女は目が血走っていて、レールガンが発射されるあと一歩のところで
 上条さんに助けられました」

「具体的に、御坂さんに何と脅されましたか?」

ステイルが質問する。

そして佐天さんが答える。


614:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 16:27:45.05 ID:Fk5YjXGU0

「今すぐ私の当麻から離れなさい。三秒あげるわ、と言って
 レールガンのコインを発射するそぶりを見せていました。
 一歩間違えれば命を落としていたと思います」

「分かりました」


と言ってステイルが話のまとめにかかる。


「以上の内容は、御坂氏が上条氏を思うばかりに生じた奇行である。
 仮に上条氏が早期に御坂氏と交際するか、そうでないにしても
 気持ちをはっきりと伝えて断っていば、この事態は未然に防げたといえる!」


616:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 16:35:04.08 ID:Fk5YjXGU0

その発言を聞いた一方通行が 「異議あり!!」 と大きな声で手を上げる。

「検察側では御坂氏の奇行が上条氏の鈍感さが原因だとしているが、
 これは明らかな誤謬である。御坂氏がツンデレであるのは周知の
 事実だが、彼に気持ちを伝えられないばかりか、幾度となく勝負をしかけている」 


ここで一呼吸入れてから続ける。


「また、御坂氏はその勝負の際に公共施設や電化製品に被害を及ぼしており、
 普段から○○公園の自動販売機に蹴りを入れるなどの素行の悪さが目立つ。
 これらには複数の目撃者がいる。したがって、彼女は潜在的に
 犯罪に手を染める可能性のある人間だったと考えることが出来る」

一方氏の発言はまだ終らない。

「それを裏付けるように、御坂氏はヤンデレ化して上条氏の住んでいる寮に
 おしかけ、氏の同居人の禁書目録氏を虐待し、失語症にさせたとされている。
 常磐台女子寮のルームメイト・白井氏に対しても電気ショックを与えるなどの
 拷問を実施しており、御坂氏が異常者なのは疑いの余地がない」


685:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 01:51:22.20 ID:O4qRQ7cf0

>>616
いっつーどんだけ御坂嫌いなんだよw


619:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 16:43:11.70 ID:Fk5YjXGU0

長いセリフだったが、一方通行氏は噛むことなく言い切ることが出来た。

小さくガッツポーズする一方さんだったが、周囲は騒然としていた。


「うぅ……ぐすっ……ひどすぎるわ……
 どうしてそんな酷いことができるの……」

傍聴席に座っている姫神がハンカチで涙を拭いていた。
心優しい彼女は、親しくしていた禁書が虐待されたと死って心を痛めたのだ。


「なんて奴だ…」 「レールガンはキチガイだ…」 「僕も叩かれたいんだお」
  
姫神の近くに座っているクラスメイト達(1名以外)もどよめいていた。
それだけ美琴の異常性が際立ったのだ。


一方通行の陳述は確かな効力を発揮していた。


626:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 18:14:33.40 ID:Ng/MI7gm0

美琴マジキチwwwwwww
たしかにツンデレじゃなくて暴力女だよなアイツ


627:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 18:19:02.16 ID:E1NBVh9W0

そもそもカミジョーさんにレールガンやるとか
マジで人殺しレベルだしな
幻想殺しが発動しなかったり上手く消せなかったら余裕で死亡確定だろ・・


629:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 18:20:57.33 ID:MeCaPpaW0

毎度思うが、超電磁砲や砂鉄の剣が上条さんに通用してたらどうしたのか知りたい


637:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 21:03:08.54 ID:Fk5YjXGU0

これで観客たちの心情を上条側優位に
させることができたと思われたが…


「異議あり!」

今まで沈黙を保っていた検察官・青髪ピアスだった。

悪友の裁判官から発言許可をもらう。

「御坂氏の異常性について異論はない。だがそれはあくまで一例である。
 上条氏が意図的にハーレムを作りだしていることの否定にはならない。
 ここで例をあげよう。上条氏は数日前から白井氏と懇意の関係になった。
 スーパーで夕食の食材を買っている彼らを見たと証言するものは多い」

青ピは身振り手振りを加えながら話し続ける。

「その関係にありながら、先日、上条氏は昼下がりの○○公園で御坂氏と
 接吻を交わしていた。そしてその場に白井氏が訪れて御坂氏と激しい
 口論となった。にもかかわらず上条氏は悪びれるそぶりを見せないばかり
 か、常磐台の女子中学生らと喫茶店に行ったとされている。
 なお、この事例の目撃者は通行人や店員など多数である」


638:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 21:08:05.36 ID:GzYBK0TW0

事実だけ見たら酷い男だよなほんと


639:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 21:12:08.63 ID:Fk5YjXGU0

青ピは気分が乗ってきて興奮し、
傍聴席側の方を向きながら大声で話し始める。

「そもそも、彼は禁書目録氏という同居人がいながら、
 御坂氏や白井氏と不健全な関係をもったことに注目してもらいたい! 
 打ち止め氏の言うとおり、確かに誰か一人を選ぶのは大変だろうが、
 悩む時間は充分にあたったと考えられる。それにもかかわらず…」

青ピはオーケストラの指揮者のように両手を広げて陳述を続行する。

「今現在も特定の恋人を作ろうとせず、ハーレム状態を維持している!
 ちなみに、公園で御坂氏が接吻した際、以前のような脅迫は
 一切用いず、自然な会話の中から生まれたとされている!
 証人の入室の許可を…」

すぐに土御門が許可を出したので、初春飾利が入室した。

「昨日、上条さんが公園のベンチでうなだれていました。
 そこへ現れた御坂さんは上条さんを励ますようなことを
 口走った後、抱きしめてキスしてました」


643:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 21:20:57.15 ID:Fk5YjXGU0

さらに続ける。

「上条さん達は少なくとも7、8分ぐらいは抱き合っていました。
上条さんは嫌がるそぶりを全く見せず、御坂さんの胸に顔を
 埋めて喜んでいました。そこに脅迫や暴力は一切存在しませんでした」

初春の発言はここまで。 

青ピが引き継ぐ。

「証拠品もある。通りすがりの中学生が撮影したものだが、
 確かに上条氏と御坂氏が抱き合っている写真だ」


その写真がプロジェクターの大画面に映し出される。


「まじかよ……」 「何て節操のない奴だ…」 「あれがシマウマか…」

一同はまた騒然とし始める。

傍聴側のクラスメイトらは青髪ピアスの陳述に動揺しているのだ。


645:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 21:29:20.71 ID:Fk5YjXGU0

青ピは彼らの反応に満足しつつ、さらに熱を入れて発言する。

「浮気行為は罪であり、多くの人を不幸にさせる!
 まともな人間であるならば、最低限の秩序は守ってしかるべきである。
 だが、上条氏は稀代の女垂らしであり、これからも多くの女性を
 巻き込み続けるだろう!」


青ピがデスノートの夜神月(最終話)のような顔で必死に叫ぶ。


「想像してみてください! 小学校を卒業したばかりの
 女の子が、上条氏の餌食になる姿を!! 純真で初心なその子たちが
 彼のハーレム目的のために騙され、欺かれる姿を!! 
 本日証人として参加していただいた二人の女性も該当するのですよ!!」


熱い発言を終えた青ピは肩で息をしており、たしかな充実感を得ていた。

ほどよい汗をかいており、スポーツのあとのようだった。


646:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 21:38:19.04 ID:Fk5YjXGU0

ピアスをつけた検察官の発言内容は、
野球でいえば逆転満塁ホームラン級の勢いがあった。



「上条君……最低だわ……!」

吐き捨てるように言うのは姫神。彼女とて恋する乙女。
上条の卑劣さに憤慨するのも無理はない。


「最低なシマウマだな…」 「奴は逮捕された方がいいんじゃないか」

「これほどの悪党はみたことがない」 「美琴タンにビンタされたいお」


クラスメイト達も怒りを隠せない(1名以外)

教室中が凄まじくどよめき、異様な空間となってしまった。


649:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 21:46:39.85 ID:Fk5YjXGU0

「もう……やめろよ」

発言したのは上条被告だった。



「!?」  「!!」  「…!?」  「な!?」

裁判官を含めた全員がそちらに注目する。



「もうたくさんだ!! そんなに俺を悪者にしたいのかよ!!」

上条は悪態をついた後、

「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」

奇声を上げながら脱走してしまった。

シマウマらしい素晴らしい疾走であり、背後からステイル達が
追いかけるが距離は開くばかりで、上条はまんまと逃げ切った。


651:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 21:54:06.30 ID:Fk5YjXGU0

「もういやだあああああああああ!! 不幸だああああああ!!」

上条が玄関を思いっきり開けた後、急いで鍵をかける。


「血相変えてどうしたの、とうま?」

禁書ちゃんは割りと冷静だったが、上条は焦りまくっている。

「もう俺は二度と学校に行かないぞ!!
 どいつもこいつも俺をバカにしやがってえええええ!!」

言いながら暴れ始める。 

とにかくむしゃくしゃして仕方なかった。


「あわわわ、お、落ち着いてよ、とうまぁ」

禁書は縮こまって震えていた。

涙目になっているのがとっても可愛かった。


653:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:01:04.02 ID:uhADb7wg0

> 涙目になっているのがとっても可愛かった。

コラwwww


655:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:02:42.41 ID:Fk5YjXGU0

数分後。


「上条さん!! 開けなさい! 裁判はまだ終わってませんよ!」

「裁判を拒否するつもりですか、被告人!」

裁判官らが玄関を叩き続けていた。

まるで借金取りのようだ。


「あーうぜー。あいつら全員くたばれ」

上条は布団にくるまり、現実逃避している。

彼らの話に応じるつもりはなかった。


658:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:10:44.27 ID:Fk5YjXGU0

ところで、

あの裁判は、一方通行が企画したものだった。

以前から上条の異常性に気がついていた彼は、
愛しの打ち止めに手を出されることを恐れていた。

そして上条に不満を持つ有志を集わせ、今日の
裁判を開いたのだ。獄中にいたステイルを脱獄させたのは彼だ。

なお、裁判とは名ばかりで、最終的には上条の有罪が
確定していた上で実施されていた。一方通行が弁護側に
回っていたのも、首謀者であることを隠すためのポーズである。

担任の小萌先生はビールで買収し、授業を乗っ取った。


660:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:11:47.79 ID:1/E9xB4P0

一通さんやっぱパネェっすwww


661:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:13:50.25 ID:yg9ZCUHM0

ビールで買収www


663:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:18:29.07 ID:Fk5YjXGU0

「……」

上条は床の上に踏ん反り返り、黙ったままだ。

不機嫌オーラが全身から発せられており、
その背中は『俺にかまうな。話しかけるな』と無言で訴えている。

ちなみに、しつこい裁判官達は徹底的に無視した。
数十分もすると彼らは諦めて帰っていた。



「……よいしょ、よいしょ」

禁書は部屋の後片付けをしていた。

上条が派手に暴れたため、投げつけられた物品の数々が
その辺に転がっているのだ。


664:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:26:10.40 ID:Fk5YjXGU0

倒れた棚や本を一通り元に戻した後、
丁寧に掃除機をかけて清掃を終えた。

「ふぅ」

ここでちょっと一息。

汗をぬぐいながら、一仕事終えた後の爽快感にひたっていた。



「あー、うぜー。うぜー、うぜー。おらおら」

愚痴をこぼしながらDSをプレイしているのが上条。

差し込まれているカートリッジには、「ドラクエⅤ」と書かれている。

密かに溜めたバイト代で買ったのだ。


665:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:34:08.25 ID:Fk5YjXGU0

ピコ ピコ ピコ ppp


「おらおら、喰らいやがれ」

上条は初期のダンジョンでスライムを倒しまくってストレスを解消していた。

ちなみに主人公の名前は、「シマウマ」である。



「とうま…」

禁書は彼を哀れむような目で見ていた。

同時に恐怖も感じていた。
こんなにやさぐれた上条を見るのは初めてだった。
今の彼はまるで思春期の中学生のようである。


668:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:41:30.23 ID:Fk5YjXGU0

思えば、今まで本当に色々なことがあった。



美琴のヤンデレ化と一連の襲撃事件。

禁書の失語症とその闘病生活。

淑女・黒子の丁寧なもてなしや、インデックスへのお嬢様教育。

美琴・黒子との険悪な三角関係。

そして今回のシマウマ裁判。

まさに波乱万丈の人生である。


669:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 22:49:14.41 ID:Fk5YjXGU0

どれも普通の高校生が体験するものではない。
上条が精神的に参ってしまうのも無理はない話である。


(私がなぐさめてあげるからね……。
 大丈夫だよ。私はとうまの味方だから…)

インデックスは何とか彼を立ちなおさせるべく、
四苦八苦することになるのだった。



709:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 14:31:10.31 ID:Ooh29v1N0

その日から、上条は家に引きこもるようになった。
学校は無断欠席し、鳴り続ける電話がやかましいので
電話線を抜いてしまった。


彼はベッドで踏ん反り返りながら、ドラクエに没頭し続けた。
毎日夜遅くに寝ては昼に起きる生活。

炊事洗濯は一切行わず、全てインデックスに任せている。

以前の正義の味方はどこへ消えたのか、彼にはもう
人としての感情が失われつつあった。


711:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 14:37:58.19 ID:Ooh29v1N0

禁書はキッチンでお茶を淹れ、湯のみを盆に乗せてとことこ歩く。

「とうま、お茶淹れたよ?」

テーブルに二人分の湯のみを置くが、

「……あぁ。サンキュな」

上条の反応は淡白だ。今もDSの画面から目を離さない。


(うう。反応がすごく冷たいんだよ……。 
 どうしたら機嫌を直してくれるのかな……?)

禁書ちゃんは少し泣きそうになりながらも、
退屈しのぎにテレビをつけた。

ピッ

ちょうどニュースの時間だった。


714:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 14:45:08.74 ID:Ooh29v1N0

女性アナウンサーが淡々と読み上げる。

「まずは数日前、学園都市内の高校で開かれたシマウマ裁判の経過について、
 一部始終を撮影したビデオの映像が各国に流失した事件についてです。
 欧州や中東など各国の首脳陣や人権団体の間で話し合われ、
 大きな社会問題に発展しています」


ここで画面が切り替わって、ロシアに移る。

「わたくしは本日、ロシアのサンクトペテルブルクに来ております」

現地の男性キャスターが話す。眼鏡をかけており、知的な印象だ。

「冬宮殿前の広場では、ご覧の通りたくさんの市民が集まっており、
 デモ行進をしています。彼らは白井黒子氏のファンで構成されており、
 上条氏のあいまいな態度に強い不快感を示しております。
 彼らは上条氏に対して、白井氏の名誉を守るため交際するべきだと
 主張しており、ロシア警察は、各地で暴動が起きないよう警戒しています」


716:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 14:52:17.19 ID:Ooh29v1N0

そして画面がイラクに切り替わる。

現地キャスターがはきはきと話す。

「ご覧下さい。現在、首都バグダードでは、多くの露店や道路などが
 爆弾テロの被害にあって混乱しています。イラク内の若い男性らは、
 美琴派と黒子派に分かれて対立しており、激しい銃撃戦を展開してます。
 その中でも美琴保護戦線を名乗る過激派集団が活発にテロ活動を
 行っていて、町は騒然としてます」


インデックスは画面は見ながらお茶を吹いてまった。

「ぶーーーっ! な、何が起きてるの!? 
 何かの冗談だよね!? 意味わかんないんだよ!?」


次に画面はイタリアに移る。首相のインタビューだ。

「現在、EU各国では上条氏に対する不満が広がっているが、
 私はあえて上条氏を支持したいと思う。彼のハーレム願望は、
 思春期の男子学生として当然の欲求であり、非難するほどの
 ものではないからだ。ちなみに、私は愛人が五人ほどいる」


718:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 14:59:08.79 ID:Ooh29v1N0

その次に映し出されたのはドイツだった。

スーツを着た偉そうなおじさんが記者会見をしている。

「先程議会で話し合ったところ、上条氏の性欲の強さは獣並で
 あるという考えで一致した。でなければ大規模なハーレムを
 作ったことの証明にならないからだ。また、今後の被害予想
 についても話し合い、上条氏は次に打ち止め氏を狙う可能性が
 高いと判断された」


さらに別のおじさんが映し出される。
ごつい顔で軍服を着ており、軍の司令官のようだ。

「打ち止め氏が至高の幼女であり、保護対象であるのは
 ドイツ国民の総意である。もし日本国政府から要請があれば、
 軍の主力を出動させる準備がすでに整っている。
 また、我々の見解は一方通行氏と共通しており、近日にも
 彼をドイツ国防軍司令部に招待し、今後の展開について
 くわしく協議したい」


719:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:07:36.63 ID:Ooh29v1N0

インデックスは、茶を噴いたせいでびしょ濡れになった
テーブルを拭きながらあきれていた。

「何で国際問題にまで発展してるんだよ……?
 みんな絶対に頭おかしいんだよ……?」


次に映し出されたのはアメリカだ。

映画監督が記者会見している。

「すでにインターネットなどで報じられているが、私が次に製作するのは
 上条氏のドキュメンタリー映画に決定した。彼の波乱万丈な人生は
 非常に刺激的であり、かなりの興行収入が見込めると考えている。
 特に御坂役は物語の鍵であるので、俳優は慎重に選ぼうと思う」


画面が切り替わってイギリス。

アナウンサーが原稿を読み上げる。

「ここ数日、イギリスのオークションでは上条氏と御坂氏が
 公園で接吻した際の写真などが高値で取引されています。
 特にその時彼らが座っていた公園のベンチが人気商品となり、
 オズウェル,E,スペンサー男爵が、ベンチとしては史上最高価格で落札しました」


723:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:12:31.75 ID:Ooh29v1N0

ここまで報じたところで、上条は切れた。



「どいつも……こいつも……」

DSをぶん投げて、静かに立ち上がる。

「ふざけやがってえええええええええええええええええええ!!」

吼えるシマウマ。すでにストレスは限界まで達しようとしていた。

無理もない。個人的な女性関係が世界中に公開されているのだ。
上条のプライバシーが存在しないのさすがに酷すぎる。


「ちくしょおおおおおおおおおおおおおお!!」

叫んでも、どうにもならないのは分かっていた。
だが、こうせずにはいられなかった。

今まで本当に様々な事件に巻き込まれてきたが、
ここまで腹が立ったのは生まれて初めてだった。


724:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:16:20.44 ID:Ooh29v1N0

「とうま。お願いだから落ち着いて…」

禁書が控えめに言いながら、上条の近くをうろうろするが…

「うるせえ!」

「あっ……」

頬を叩かれてしまった。

「……」

「……」

重い沈黙が訪れる。

「……」

「……ごめんね。とうま」

「…え?」

謝ったのはなぜかインデックス。


726:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:21:26.07 ID:Ooh29v1N0

彼女は涙を堪えながら話した。

「いっつも私が迷惑かけてから悪いんだよね?
 とうまが他所の女の子たちに癒しを求めちゃうのも分かるよ。
 でも、これからは私がとうまに尽くしてあげるから…」

インデックスは上条に抱きつき、

「私だけを見て…。私はとうまが何やってたとしても受け入れるよ」

「……!」

上条が感じたのは強烈なデジャブ。
美琴や黒子の時と全く同じパターンだ。

上条はよく考えた後、禁書を押しのけた。

「よしてくれ。俺はもう女の子と仲良くなりたくない」

「……とうま」

「言っておくが、おまえに出て行って欲しいわけじゃないぞ?
 これからもこの家に居てくれてかまわない。だが、必要以上に
 べたべたするのはもうやめよう」

「……うん。分かった」

肩を落としたインデックスが頷く。


727:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:26:07.71 ID:Ooh29v1N0

こうして微妙な関係のまま、さらに数日が経過した。

上条は相変わらず学校に行かず、DSをプレイしていた。

その世話焼きがインデックスの仕事である。

清掃は一通りこなせるようになったが、まだ料理までは
万全ではない。ご飯だけを炊くことは出来るので、
あとはスーパーで買った簡単な食材を調理するか、
出来合いの惣菜を購入するなりしていた。


「ポイントカードはお持ちでしょうか?」

スーパーのレジで店員に聞かれる。

「はい……って、あれ? あ、すみません。
 家に忘れてきてしまいました」

財布の中を探すが、目的のカードは見つからなかった。

しょんぼりしながら会計を済ませる。


728:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:30:14.95 ID:Ooh29v1N0

「…」

帰り道を歩いていると、主婦たちの噂話が聞こえてきた。

「まあ、あの子なんでしょ? あのシマウマの男の子ど同居してるのって」

「本当だわ。世界的に有名人になってる女の子よね」

「へぇ。結構可愛い子じゃない。年は小学生くらいかしら?」

「まだ彼と同居してるって噂じゃない。あんな男いい加減諦めればいいのに」


歯に衣着せぬ言い方とはこのことである。

彼女らの勝手な話はインデックスの心を深く傷つけた。

「うぅ…」

禁書は泣きそうになるが、必死で堪える。

今日も大好きな彼が家で待っているからだ。
早足でその場から去ろうとしたが…


729:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:35:06.36 ID:Ooh29v1N0

「あなたが禁書目録さんね」

腕を組んでいる地位の高そうな女性。

「私は、ジャッジメント・第177支部所属の固法美偉よ。始めまして」

そう言って握手を求めてくる。

眼鏡の奥に知的な瞳を備えている女性だった。

インデックスは緊張しながら手を伸ばした。

「よろしく…」

「そんなに緊張しなくても大丈夫よ。今日はあなたに話があるだけ」

「話…ですか?」

「ええ。少し話しが長くなるから、喫茶店にでも行きましょうか」


そして場所を移動した。

案内された喫茶店は洒落た雰囲気の店だった。

固法氏は適当に二人分の紅茶を注文した後、話を始めた。


731:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:40:06.61 ID:Ooh29v1N0

「上条君は一週間ほど学校を無断欠席してるわ。
 まあ、あれだけ有名人になってしまっては無理もないわね。
 彼に同情する人も実は多いの。今回の報道は彼の
 プライバイシーをずたずたにしたのよ」

話し始めると、固法氏は割とフランクな印象だった。

現在、上条氏のハーレム問題について大きな社会問題と
して扱われているが、その件について学校側やアンチスキル
と協議し、ある妥協案を検討したのだという。

「それがこの誓約書よ。これは浮気防止とハーレム撲滅に
 同意するための書類なんだけど、上条君がこれに特定の
 女性とお付き合いすると誓ってもらうために用意されたの。
 署名したら各国語に翻訳して世界に好評するわ」

テーブルの上に乗せた用紙を見せる。

「……」

「…で、この誓約書を上条君に渡してもらえるかしら。今すぐ
 決めろといってるわけじゃないわ。彼が立ち直るまで時間は
 かかるでしょうけど、いつかは決断してもらうわ」

「……」

禁書は黙って話を聞いていた。その暗い表情を読み取った固法氏は…


732:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:45:18.88 ID:Ooh29v1N0

「私はね、上条君が誰を選ぼうと興味はないの。それはジャッジメント
 のほとんどの人がそう思っているわ。ただこれだけの大騒ぎになって
 しまった以上は仕事としてやってるだけ。あなたも巻き込まれちゃって
 大変だとたと思うけど、まあがんばって」

固法氏は禁書の肩を優しく叩いた後、踵を返して去っていった。

インデックスは複雑な思いでしばらく考え事した後、
口をつけていなかった紅茶に手を伸ばす。

「冷たい…」

紅茶はもう、すっかり冷めてしまった。



帰宅。

「ただいまなんだよ。とうま」

「……」

念のため一分ほど待ってみたが、やはり上条からの
返事はもらえなかった。

彼は相変わらずDSに没頭していて、禁書を見ようともしない。


733:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 15:50:06.01 ID:Ooh29v1N0

(はぁ…)

少し憂鬱になりながも、インデックスはテーブルで
買い物袋を広げる。

今日は料理するのが面倒なので、スーパーで安売りの弁当を二人分買ってきた。
最近の弁当は本当に安いので重宝している。

それを食べる前に、こっそりと固法氏からもらった誓約書に目を通す。

(もし、とうまが私のことを好きになってくれたら、
 本当の恋人になれるんだね)

誓約書によると、上条が浮気をした場合は法により罰せられると
書いてある。言い変えれば彼に一途な恋愛を強要させるものだ。

(私はくろこ達よりもずっと長くとうまと過ごしてきたんだよ。
 私だってチャンスはあるはず…)

これはチャンスだと思った。

心を閉ざしてしまった彼をなんとかして救ってやればいいのだ。

シマウマ裁判が公になって以来、美琴や黒子らはすっかり現れなくなった。
理由は分からないが、彼女達にも色々と事情があるのかもしれない。

ちなみに、上条は携帯はもちろん、電話線を遮断して玄関にも施錠している
ため、可能な限り外部との接触を遮断している。


736:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:02:24.94 ID:Ooh29v1N0

インデックスは密かにガッツポーズした後、
上条攻略作戦に打って出るのだった。


「あー、腹減ったなー」

夜の八時。

今までずっとゲームしていた上条だが、
さすがにお腹がすいたのでお弁当に手を出そうとしていた。

だが……

「あー? 箸がねえじゃん。ったく」

付属してあるはずの割り箸がないので文句を垂れる。

ここで待ったました、と言わんばかりにインデックスが…

「とうまぁ。今日は私が食べさせてあげるんだよ!」

にっこり笑顔で割り箸を持つ禁書ちゃん。


738:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:09:25.09 ID:Ooh29v1N0

一方の上条は氷のように冷たい表情でこう言った。

「おい。やめろ」

「え?」

「そういうの、もうやめろって言ってんだよ」

「え……えっと……」

禁書はあたふたしたが、彼に物凄い顔で睨まれていた。


「俺は女の子と必要以上に仲良くしないって言ったろ? 
 もう懲り懲りなんだよ! いいから割り箸貸せよ」

「はい。ごめんなさい。怒らせるようなことして…」

「……」

禁書が申し訳なさそうな顔で謝った後、上条は特に
気にした様子もなく無言で食べ続けた。


インデックスは暇になったので、テレビをつけてみた。

内容はまたしてもニュース番組だ。


740:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:16:23.14 ID:Ooh29v1N0

美人アナウンサーが原稿を読み上げる。

「今回のシマウマ裁判の結果から、常磐台中学では学生の
 品格を守るため、不必要に異性と恋愛をしないよう
 校則が一新されました。女子寮の寮監の話によると、
 寮生のみ原則として男女交際は禁止させるとして、
 今後も厳しく生徒を指導していく考えを表明しました。


禁書が呆けながら感想を述べる。

「へえ。くろこ達も苦労してるんだね…。
 だから最近姿を見なかったんだ…」 


画面は切り替わって国際ニュースだ。

なんと、ドイツ国防軍司令官と握手している一方通行の姿があった。

「今回の裁判で弁護役を勤めた一方通行氏は、日本時間の本日夕方、
 訪独先のベルリンで国防軍・最高司令官のマンシュタイン氏と
 会談しました。会談では、打ち止め氏の写真集や音声データなど
 と引き換えに最新の軍事技術の提供が検討され、両氏は打ち止め氏を
 保護する立場上、必要不可欠の措置だということで意見が一致しました」


743:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:23:21.95 ID:Ooh29v1N0

ここで一方通行がインタビューに答える。

「この取引が成立すれば、日本国にとって多くの利益を
 生むことになるだろう。また、幼女を守りたいという気持ちに
 国境は関係ないということを改めて認識させられた。
 打ち止めが、日本とドイツを結ぶ架け橋になることを期待している」

アナウンサーが続ける。

「次に芸能ニュースです。米国で製作中のドキュメンタリー映画、
 『SHIMAUMA』について、
 米国人監督のスティーブン・リンチ氏の記者会見の映像です」
 
リンチ氏が画面上に現れる。

「製作にかける費用は膨大なものになる。特に女子生徒役の俳優
 に間しては世界中から応募が殺到しているため、かつてないほどの
 クオリティーが期待できる。ロケ地は米国内で行う予定で、
 学園都市を模倣した町を建設している」


ここで上条が切れる。

「えええい! 今すぐテレビを消しやがれえええええええええええ!!」

「は、はい! ごめんなさい!」

禁書が急いでテレビを消す。


745:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:30:48.12 ID:Ooh29v1N0

「ったく、どいつもこいつも俺をバカにしやがって…」

上条はベッドに横になり、すぐに寝てしまった。


「…」

禁書は密かに作戦を立てることにした。
今のニュースのせいで上条が腹を立ててしまったが、
黒子達が動けない状態である以上、チャンスに変わりはない。



それから毎日、禁書は上条に近づいてみた。

ある日。

あぐらをかいてDSをプレイしている彼の背後に忍び寄り、
さりげなく抱きついて密着してみるが、

「邪魔。どけ」

と淡白に言われて撃退された。


747:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:37:24.22 ID:Ooh29v1N0

別の日の夜。

禁書はパジャマ姿で枕を抱きしめて涙目になりながら、

「とうまぁ。今日は寂しいから一緒に寝てほしいんだよ?」

と言っても…

「うっせ。一人で寝ろ、ボケ」

あえなく撃沈する。


その次の日。

湯上りで一枚のタオルを身に纏った禁書が、

「おーっと、足が滑っちゃったぁ!」

わざとらしく言って上条に抱きつこうとするが…

「危ねえな」

軽く回避され、床に顔を打ち付けてしまった。


(うぅ……痛いんだよ。どうすればとうまに振り向いてもらえるの?)

インデックスは涙目になりながらも諦めてはいなかった。


751:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:44:24.52 ID:Ooh29v1N0

(もう正攻法は通じないんだよ。かと言って過激に責めても駄目。
 どうすれば……。あっ、そうだ!!)

痛めた鼻をこすりながら何か閃いた。


(とうまは動物が好き。いっつもシマウマの話を聞かせてくれたもん。
 なら……私がすることは一つなんだよ……)

インデックスは勝利を確信し、あるものを買うために夜の街に繰り出した。



さらに翌日。

お昼過ぎに上条は目を覚ました。

「ふぁああー」

あくびして伸びをした後、ベッドの横に不審な
ダンボールが置かれているのに気がつく。

「なんだこりゃ。宅急便か?」

大きなダンボールだった。
人が一人くらい入ってしまっても不思議ではないほどだ。


753:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:52:25.24 ID:Ooh29v1N0

上条がそれを開けようとしたとき…

「にゃ~~!!」

なんと……『ネコミミ』をつけたインデックスが姿を表したではないか!!


「!?……!? ……っ!? ……な!?」

上条にとってはこれ以上ないほどの驚愕だ。
寝起きにこんなものを見せられたのでは無理もない。
思考回路がいかれてしまって言葉が発せられなかった。


次に……インデックスは歌い始めた!!

『んでっ!んでっ!んでっ にゃ~んでっ! かまって かまって 欲しいの~♪』

『イイ子じゃない時のワタシ カワイイとかって ありえな~い♪』

『ソレ!ソレ!ソレ! LOVE! もらって もらって ください~♪』



それを聞いた瞬間、上条の中で人間らしい感情が生まれようとしていた。

(何この歌!? か、かわいい!? いや、確かに可愛いけど…
 それ以上に…うぜええええええええええええええええええええ!!)


755:しおん ◆SHION//ih2 :2010/09/18(土) 17:55:03.01 ID:4SUxD/5PP

うぜええええええええええええ


756:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:59:03.53 ID:Ldp370y80

調子にのっちゃだめだよインデックス


757:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 17:59:14.08 ID:Ooh29v1N0

インデックスは笑顔で歌い続ける!!

『はっぴぃ にゅう にゃあ はじめまして キミにあげる 最初のオーバーラン♪』
 
『逃げるから 追い掛けて まぁるい世界♪』『ラッキー ニュー フェイス 近づいてる♪』
 
『わたしだけ~ 見つけなさい~ 拾いた~いなら 拾えば~い~じゃん♪』


その頃、上条の心の中で大きな変化が生まれた。

(何なんだこれは……聞いてるだけで元気が沸いてくるぞ……。
 そう。この気持ちを例えるなら……うざ可愛い!! うざいけど可愛い!!
 何これえええええええええええええええええええええ!?)

(拾えばいいじゃんだと!? 私だけを見つめなさいだと!?
 見つめちゃうよ!? いいの!? いいんだよね!?
 はあああああああああああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!)





上条は悟りを開いた。


759:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 18:06:38.95 ID:Ooh29v1N0

インデックスを優しく抱きしめながら、感情のこもった声で話しかける。

「おまってやつは……どうしてここまで俺に尽くしてくれるんだ?」

「私がとうまのこと大好きだからだよ」

「でも、俺はおまえに冷たく接してしまった。嫌いにならないのか?」

「そんなことあるわけないんだよ。とうまは行き倒れの私を拾ってくれた。
 お腹がすいたらご飯食べさせてくれた。だからこれは恩返しなんだよ。
 とうまのことはずっと大好きだったから…」

「インデックス……」

上条の瞳に暖かい涙が生まれた。

同じようにインデックスも泣いていた。





二人はしばらくそのまま抱き合い、本当の恋人になったのだった。


761:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 18:11:23.27 ID:Ooh29v1N0

その後、上条はジャッジメント本部の第一会議室へ出向いて
浮気防止の誓約書にサインし、インデックスとの交際を正式に認めた。

各国語に翻訳されたそれが報道期間によって全世界に公表され、
一連のシマウマ騒動は鎮静化した。

インデックスとの交際宣言はすぐに美琴や黒子の知ることとなったが、
反応はまともで、「当麻(様)が選んだのならそれでいい」として
二人の交際を肯定した。

また、米国製作の映画「SHIMAUMA」が世界中で大ヒットし、
後日販売された製品版のBDは、初回限定版を中心に大いに売れた。
上条は多額の報奨金を手に入れ、裕福な生活をするようになった。

彼らはシマウマとネコ。いわゆるシマネコ・カップルとして、
世界中の人々から暖かく見守られたという。


                                終わり。


762:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 18:20:33.02 ID:4zmq2KJI0

唐突に終わったな


765:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 18:26:22.91 ID:uYIH6OqP0

無茶すぐるwwwww


773:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/18(土) 19:55:38.17 ID:xAimzKUe0

とりあえず乙


775:しおん ◆SHION//ih2 :2010/09/18(土) 21:07:58.88 ID:4SUxD/5PP

おつかれ


美琴「あんたのこと嫌い」 上条「なん……だと…?」 その1
美琴「あんたのこと嫌い」 上条「なん……だと…?」 その2


Special “ONE"(初回限定盤)(DVD付)
Special “ONE

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